エンジェルボール特集

舞台「赤魂」無事終了しました

特別企画:飛騨先生に色々訊いてみた!

飛騨先生は神奈川県出身ですが、「エンジェルボール」の舞台は広島です。
なぜ広島が舞台の話を書かれようと思われたのでしょうか。

因島に旅をして多島海の風景に心を奪われ、
この地を舞台にした物語を書きたいと思ったのが動機でした。
物語の大まかな骨格を決めたとき、必然的に広島が舞台となりました。
またそもそも広島という街が好きでした。広島には縁もゆかりもなかったのですが、
広島が好きだからこそ、物語に命を吹きこもうと躍起になりました。

2015年に文庫化して作家デビューとなったわけですが、
ご家族の反応はいかがでしたでしょうか。また広島本大賞を受賞して、
自分自身や周りで何か変化はありましたでしょうか。

元は電子書籍の個人出版から始めたのですが、そういうものがあるということを見つけ、
背中を押してくれたのは妻でした。また家族は私が紙の本を出版したいと願っていることを
当然に知っていたので、それが叶うと分かったときは愛犬も含め全員とても喜んでくれました。

広島本大賞を受賞したことは身にあまる光栄と思っています。自信にもなりましたし、
何より広島にたくさんの友達ができました。これが本当に嬉しかった。
今年の5月に行われた授賞式がご縁で知り合った方に、第二作「穴おやじ」の装幀を
やっていただくことになったり。広島本大賞は本当に素晴らしい縁を運んできてくれました。

「物書き」として心がけていること(○○はやる、○○はしない等)を教えてください。

好奇心を持ち続け、それを後回しにしないことですかね。

社会的に成功を収めている友人が何人かいますが、一様に好奇心が旺盛で、
かつ、それに対する動作が早いです。
あと、この歳になってなお、何事も経験だと思っています。
経験して初めて見えてくる地平というものがあります。
だから些細なことであれ、可能な限り経験をしたいと思っています。

「エンジェルボール」が完成するまでの苦労話や、裏話はありますか?
あればぜひ教えてください。

天使や悪魔という設定が荒唐無稽とされてしまう分、現実的な部分については
なるべくリアリティを感じていただけるよう意識しました。
それと、とにかく広島や因島に縁もゆかりもないものだから、方言はじめ、何から何まで
ほぼ想像だけで書きました。野球もやったことないし、知らないこと、分からないことだらけで、
そこが苦労といえば苦労だったのかもしれません。
けれど、この物語を完成させたいという情熱だけで一気に突っ走りました。
全4巻ですし、それなりにいろんな人物が登場します。そして誰もがそれぞれに
エピソードを持っています(もっと書き込みたいこともたくさんありました)。
それらを偏ることなく物語全体に散りばめて、最後に一本の流れとなって結末に向かってゆく、
そのバランスには留意しました。 でもとにかく苦労を感じることは一度もありませんでした。
書いていて楽しかった記憶しかないですね本当に。

【舞台化について】
「エンジェルボール」ファンの中には、原作の濃厚なストーリーを受けて、
映像化や舞台化に否定的な方も少なからずいます。
(2時間前後の尺では表現できないのでは?という意見)
舞台化の話が来た際に、率直にまずどう思われましたか?

おっしゃる通り、作品の世界観をその尺で表現することは不可能と思いました。
ですから最初にお話をいただいたときは、反射的にお断りしようと思いました。
けれどプロデューサーの門田さんに直接お会いして、表現者としての情熱を感じました。
エンジェルボールを原作として取り上げてくださったことに深く感謝しています。

舞台「赤魂」の脚本については、どの程度関わられているのでしょうか。

脚本はさらっと読ませていただき、脚色については一切意見していません。
原作の使用を承認した以上、二次創作についてはその人の表現物だと思いますし、
演出に関わる部分に私が何かを口出すことはお門違いと考えるからです。
とは言いつつ、舞台のメインコピーは最初から、
「さえない42歳の中年男に宿った奇跡のボールを投げる力。彼はそれを誰のために使うのか?」でした。
これは私もテーマにしていたことであり、つまり作品の本質にはブレがないということで、
安心感がありましたね。

舞台を見に行かれると聞きましたが、本番まで1ヶ月を切った状況でどんな心境でしょうか。

とても楽しみです。シンプルですが、その言葉以外ないですね。
舞台って熱さや切実さがダイレクトに伝わってきます。生ですからね。
そうそう、舞台を見るたび女優さんには仄かな恋心を抱いてしまいます。笑
とにかく早く観たいです。

【最後に】

ファンの皆様、そしてエンジェルボールにまだ出会えていない未来のファンの皆様へ、
メッセージをお願いします。

折に触れては言っていることですが、エンジェルボールという作品では
「野球の物語」を書いたつもりはなく、あくまで人間ドラマを書きました。
子どもの純粋で淡い恋心、大人の利己的な不倫、高齢者の慈愛に満ちた想い、
親子の互いに寄せる期待と信頼、恋人同士の悲しいまでに一途な想い、
そして夫婦の深い愛など……世代も、性別も、職業も、立場も様々に、
人が人を想う気持ちを因島の美しい風景や広島という素敵な街を舞台に描きました。
たくさんの愛情が詰まっている物語です。読むときっと優しい気持ちになれると思います。
エンジェルボールが、読んでくださった人たちの「人生の長い友達」になってもらえたら、
これ以上うれしいことはありません。

著者紹介

飛騨俊吾

著者

1964年生まれ。神奈川県横浜市出身。
会社勤めの傍ら小説を書き続け、長編小説「エンジェルボール」を
電子書籍で個人出版。各方面から好評を博す。
2015年、大幅な加筆と再編集を経て「エンジェルボール」(全4巻)を
文庫化し作家デビュー。
2016年に同作品で第6回広島本大賞小説部門の大賞を受賞。
最新作「穴おやじ」(双葉社刊)も絶賛発売中。

エンジェルボール 各巻のあらすじ

第1巻

エンジェルボール1巻

トラック運転手をしながら小学生の息子二人と広島県因島で暮らすバツイチ41歳の寺谷和章は、
ある夜、交通事故に見舞われ、目の前に現れた謎の天使に“思いのままに飛んでいく魔球”を授かる。
和章は「カープを日本一にする」という子供の頃の夢を叶えようと、
広島カープの入団テストを受けに行くが……。
家族とそれを取り巻く人間模様を通して、男の選択と生き様を描く長編エンターテインメント。

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第2巻

エンジェルボール2巻

ファームに落ちて因縁の若手キャッチャー達原と再会した寺谷和章は、復調の兆しが見えない中、
取材に訪れた美人新聞記者と衝突する。だがある事件をきっかけに魔球が復活。
やがて1軍復帰した和章は再起を賭け、超満員にふくれあがる甲子園のマウンドへと向かう。
父の活躍を信じ続ける息子たち、宿命のライバル登場。
カープファンのみならず、熱い物語を求めるすべての読者に!興奮と清々しさが胸を打つ長編小説。

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第3巻

エンジェルボール3巻

夢のオールスター出場を果した広島カープの守護神寺谷和章は、球場に駆けつけた
息子二人の目の前で圧巻の奪三振ショーを繰り広げていた。
パ・リーグ8人目の打者として打席に立ったライバル早野薫は、大観衆が見守る中、
再び和章を挑発するが……。
“悪魔のバット”早野薫が秘める壮絶な過去、広島カープを含めた上位三チームが繰り広げる
熾烈な首位争い、そして遂にエンジェルボールの秘密が明かされる!

第3巻を注文する

第4巻

エンジェルボール4巻

球は魂――。広島カープの絶対的守護神寺谷和章に残されたエンジェルボールはたったの三球。
自分の命と引き換えに悪魔と契約した孤高のスラッガー早野薫。
日本シリーズ第七戦、土壇場九回裏、遂に二人の運命が交錯する。
<愛するものすべてを幸せに>
神に魅入られた男のその願いは叶うのか――。
手に汗握る興奮と熱狂、家族と野球を愛した男の想いが心を揺さぶる
感動の長編エンターテインメント、遂に完結!

第6回広島本大賞『小説部門』大賞受賞作

第4巻を注文する

飛騨俊吾先生 最新作

穴おやじ

穴おやじ

「暗い穴の中にいると何も見えない。けどよ、何も見えないからこそ、逆にいろんなことが見えてくるんだよ」
かつて防空壕だった三ツ穴に隠れ棲むビン底眼鏡をかけた謎の男〝穴おやじ″。
得体の知れないその男をめぐり、大人たちの様々な想いが交錯する。
そのとき、少年哲也の目に映ったものとは――!?
少年と穴おやじの心の交流を描いた表題作ほか、日常の中に潜む、
切なくも不可思議な奇跡を描いた四つの物語。

「穴おやじ」を注文する